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インターネット回線のプロバイダを選ぶときに見かける「光コラボ」とは何のことだろうか。
プロバイダ会社がプロバイダサービス(インターネットへの接続サービス)とフレッツ光の光回線サービス(自宅からプロバイダまでの光回線)とを一緒にサービス提供するプランのことだ。
例えば「OCN光」はプロバイダであるOCNが、NTTから仕入れた「フレッツ光」をOCNブランドとして、OCNのプロバイダサービスとともに一体のものとして利用者に提供することになる。
プロバイダと光回線の一体型サービスが始まったって?それって普通のことじゃないの?と疑問に思うかもしれないが、今でもプロバイダサービスと光回線サービスを別会社で別契約をすることは普通のことだ。
「OCN フレッツ光」とか「OCN auひかり」など、プロバイダ名と光回線名を併記しているサービスがそれだ。
しかし光コラボの場合は、「OCN光」という名称となり、ブランド上は独自回線の扱いとなる。
光のコラボレーションが始まったわけ
ここにきてなぜ光コラボという形でNTT東西のフレッツ光が各社プロバイダに卸売りされ市場開放されることになったのだろうか。
様々な背景や伏線があっただろうが、最後の引き金となったのは、auスマートバリューという光回線とスマホのセット割にNTTが対抗するためだったかもしれない。
そもそも、なぜNTT東日本やNTT西日本が独自でプロバイダサービスをセットにして提供していなかったのか?
それは、NTT東西が地域限定で営業しなければならない法律にしばられており、地域が限定されないインターネット接続サービスは禁止されていたからだ。
そこでNTT東西は、OCNというプロバイダ会社を子会社をつくって他プロバイダ会社と並んでサービスを提供していた。
ところがここにきて光コラボが開始された理由(背景)は2つある。
- 理由1
以前からソフトバンクが、NTTの光ファイバー独占を非難して、総務省に市場開放を要望していた。 - 理由2
auスマートバリューという、auの独自回線であるauひかりとauスマホのセット割が人気があり、ドコモとソフトバンクが出遅れていた。ドコモもスマホセット割を始めるには1プロバイダのOCNで光の独自回線を始める必要性にせまられていた。
理由1のNTTによる光ファイバー独占については説明は不要だろう。ところが理由2の光回線とスマホのセット割は予想外の展開だっただろう。
そもそも光回線とスマホのセット割は、提供側の目線でいうと光回線とスマホが同じ会社のサービスでなければ行う意味がない。
例えば、八百屋で人気のにんじんと売れ残りのだいこんをセット割引する場合、八百屋に売れ残りがさばけるメリットがある。しかし全く関係のない魚屋のさばとセット割にしても八百屋側にはメリットは全くない。
同じように、ドコモだけはフレッツ光とOCNプロバイダのセット割をするメリットはあるが、他のプロバイダにはセット割を始めるメリットや動機が全くない。それどころか、もしOCNだけがセット割を始めたら他のプロバイダは一方的に不利な状況に追い込まれる。よって、これは独占禁止法によって禁じられていた。
では、ドコモはauスマートバリューに対抗するためにスマホセット割を提供するにはどうしたらいいか。
そのこたえが、光コラボレーションだったのだ。
光コラボにより全プロバイダに光回線サービスを卸売りが開始され、NTTによる光ファイバー独占の問題も解消され、ドコモのセット割も対応可能となった。
インターネットの料金が安くなるのがメリット
NTT東西側でのメリットは、フレッツ光という自社サービスを販売しなくてもよくなり、各プロバイダへ確実に販売できるようになったことや、同系列のドコモとのセット販売が事実上可能となったことなどがある。
プロバイダ業者側のメリットは、自社のプロバイダサービスとあわせて回線サービスも自社商品として販売できるようになり、ビジネスチャンスが広がったことだ。
そしてわれわれ消費者のメリットは、契約先が今まで2つだったのが1つに統一されわかりやすくなったことやトータルの料金が安くなったことなどだ。
このように光コラボは皆にメリットをもたらす仕組みなのだ。
要するに、NTTは、自社で独占してきた通信回線インフラがあるのに法律で足かせをはめられていたが、独占をやめて回線インフラを市場に解放する事で、足かせを見事に外すことができたのだ。